高齢化の勢いが激しい日本において、公民連携のプロジェクトにより高齢者にも配慮した街づくりを進める大阪府大東市。前編では、大東市長の東坂浩一氏へのインタビューを中心に、大東市の公民連携の特徴を紹介した。後編では、同プロジェクトを先導するコーミン代表取締役の入江智子氏に、プロジェクトの実態や今後の展開などについて明らかにしてもらう。

「自分でつくったまちに住む」がコンセプト

 古い市営住宅の更新を契機に対象エリア全体をリノベーション、エリアには公園を再整備すると共にレストランやライフスタイルショップなども誘致する。大東市が2016年から取り組んでいる「北条まちづくりプロジェクト(morinekiプロジェクト)」の概要だ。2021年に開業したエリアには、多くの人が訪れたり周辺地価が上昇したりするなどの成果を挙げており、市営住宅の老朽化や空室率の高さに悩む自治体などに注目されている。

morinekiエリア。おしゃれなカフェの奥には市営住宅が並ぶ(写真提供:コーミン)
morinekiエリア。おしゃれなカフェの奥には市営住宅が並ぶ(写真提供:コーミン)
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 morinekiプロジェクトにより開発を行ったmorinekiエリアは、大阪駅からJRで約30分の距離にある四条畷(しじょうなわて)駅から歩いて5分、駅前の住宅地を抜けた場所にある。近くには三好長慶の居城として知られる飯盛城跡のある飯盛山の青々とした美しい姿が見える。敷地内には緩やかに起伏した芝生が広がり、子供やペット連れの家族で賑わっている。

 morinekiエリアでは飯盛山を背景におしゃれなカフェや雑貨店、ベーカリーショップなどが並ぶ。子育て中のママたちに快適で機能的な商品を提供するメーカーとして人気のノースオブジェクトが展開するショッピングエリアだ。

 「以前ここには、昭和40年代に建てられた飯盛園第2住宅という市営住宅がありました。全国どこにでもある、コンクリートの5階建てで、エレベーターもありませんでした。竣工した当時としては先進的な住宅だったのかもしれませんが、現代的な感覚からすると、決して魅力的な建物ではなくなっていたんです」

 そう語るのは、morinekiの運営を行うコーミン代表取締役の入江智子氏だ。

 大阪府大東市は「自分でつくったまちに住む」を開発理念とし、市民や地元企業が能動的に関わることで、ここに住んで、働き、楽しむことができる街づくりを目指している。morinekiプロジェクトはその一環だ。

コーミン代表取締役の入江智子氏(撮影:末並 俊司)
コーミン代表取締役の入江智子氏(撮影:末並 俊司)
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