再生可能エネルギーの電力で水を電気分解して生産する「グリーン水素」に対する需要が高まり、世界各地でその生産計画が目白押しになっている。ただし、激しい競争の中、事業を成立させるには水電解装置の大幅な差異化や低コスト化が必要だ。
 そうした中、日本のメーカーは、独自の技術開発で他社が容易には追いつけない優れた部材を開発。ちょうど半導体事業のように、最終製品の製造よりも、優れた技術や部材で高い競争力を保てる可能性が出てきた。物量で勝負が決まる太陽電池、大型化が進む一方の風力発電、電気自動車(EV)の市場規模に結び付いた蓄電池事業などとは異なる日本のメーカーが生き残る道が、水電解装置や技術では見えてきている。

 これまで世界各国・地域は、再生可能エネルギーに投資をして主に電力部門の脱炭素化に取り組んできた。それが奏功し、欧州などを中心に2050年には電力部門の脱炭素化を達成するメドが立ち始めている。

 ところが、実際には電力部門だけではカーボンニュートラルの実現は果たせない。電力部門以外のセクターが消費する化石燃料のエネルギーは電力量の約3倍はあるからだ(図1)注1)。二酸化炭素(CO2)の排出量でみても、現時点における電力部門の排出量の1.5~4倍はある注2)

図1●水電解装置用電力量は将来的には従来型電力部門の約3倍必要
図1●水電解装置用電力量は将来的には従来型電力部門の約3倍必要
電力部門以外の部門を脱炭素化する手段としてクリーン水素が脚光を浴びている。ただし、水素は多くの場合、1次エネルギーではなく、主に再生可能エネルギーまたは原子力発電などからのCO2フリー電力で水を電気分解するなどして生成する。電力部門向けのエネルギー量を1とすると、それ以外のエネルギーは3前後となる。それを賄うためにも、水電解装置市場は近い将来急速に拡大する見通しである(出所:日経クロステック)
注1)ただし、これは非電力部門の電化を進めなかった場合の数字。ガソリン車から電気自動車(EV)へといった電化を広く進めると、エネルギーの利用効率が大幅に高まる。米Teslaは、電化をとことんまで進めることで、世界が必要なエネルギー総量が現状の約1/2になると主張する。
注2)この1.5倍というのは日本のケース。皮肉にも電力部門の脱炭素化が遅れている国・地域ほど、電力部門に対する非電力部門のCO2排出量の比が小さい。

この先は日経エネルギーNextの会員登録が必要です。日経クロステック登録会員もログインしてお読みいただけます。

日経エネルギーNext会員(無料)または日経クロステック登録会員(無料)は、日経エネルギーNextの記事をお読みいただけます。