ヘアサロンで日々発生する廃棄物は、プラスチックゴミやヘアスプレー缶、カットした髪、紙類など大量かつ多岐に亘る。美容業界の廃棄物問題に立ち向かうために様々な取り組みを行う社会的企業「Sustainable Salons」は独自のリサイクルプログラムをパートナーサロンに提供、今までに回収した廃棄物は170万kgに及ぶ。持続可能なビジネスには利益の追求も必要不可欠という創設者の理念で「サロン検索」のディレクトリサービスも構築。さらに環境への配慮だけでなく慈善団体との連携でヘアドネーションや生活困窮者に向けての食糧の寄付など社会的な貢献にも注力し、地域コミュニティとの繋がりも強化している。美容とサステナビリティの調和を実現したSustainable Salonsの取り組みについて、現地リサーチャーがレポートする。

パートナーサロンにはリサイクルボックスが提供され、定期的に回収される。同社のパートナーとなることで環境意識の高い顧客の集客にも繋がることもメリットである(写真: Sustainable Salons 公式Facebookより)
パートナーサロンにはリサイクルボックスが提供され、定期的に回収される。同社のパートナーとなることで環境意識の高い顧客の集客にも繋がることもメリットである(写真: Sustainable Salons 公式Facebookより)

美容サロンを対象とした豪州最大のリサイクル企業の取り組み

オーストラリアとニュージーランドでヘアサロン、理髪店、美容院、皮膚クリニック、ペットグルーミングサロンをサポートして包括的な循環ソリューションを展開するのが、社会的企業「」だ。2005年から活動を開始した同社は現在1500店以上のサロンとパートナーシップを締結。環境に配慮したサステナブルなサロンを検索できる大規模なディレクトリサービスとしても機能している。

サロン業界独自の廃棄物はシャンプーボトルや化学薬品の容器などのプラスチック製品が多く、そのほとんどが一度使い切ると廃棄されており、大量のプラスチック廃棄物の適切な処理が課題であった。また地域の水質や土壌に悪影響を及ぼす恐れがある排水やヘアカットで発生する髪の毛などの廃棄物も美容サロンのサステナビリティに関わる事案である。美しくなろうとすることが環境を汚染しているという、そんな矛盾を解決に導くサービスは多くの賛同者を得た。

環境に配慮したサロン運営を提案するSustainable Salonsは主に以下の取り組みを行っている。

リサイクルプログラムの運営:
美容関連の廃棄物を適切に処理するため、サロンのニーズに合わせサロン内分別箱と屋外回収箱を設置、2 週間ごとの回収サービスを提供。

ヘアドネーションの推進:
カットした髪をがんや円形脱毛症を患う人々にウィッグとして提供するヘアドネーションの普及と支援。

再生エネルギーの活用:
再生エネルギーの導入や省エネルギーの促進をサポート。サロンのエネルギー効率を向上させ、環境への負荷を軽減。

教育と意識向上の推進:
美容業界の関係者や一般の顧客に向けて、環境保護や社会貢献に対する理解を深めるためのプログラムを提供。

サロン業界におけるサーキュラーエコノミーを提唱するSustainable Salonの活動は地域社会への貢献と持続可能な美容産業の実現に向けた重要な一翼を担っている。

Sustainable Salonsの創設者が見据える「美と環境保全の共存」

Sustainable salonsは美容師のPaul Frascaと環境活動家のEwelina Sorokoにより創設された。2人は、サロンの廃棄物は埋め立てる以外に行き場がないことを知り 「サロンで使用されるリソースに対する倫理的なアプローチを実践したい」という意向を共有し、サロンの廃棄物問題を解決するソリューションの開発・提供の構想に着手した。

「私たちは美容業界の持続可能性について非常に長い議論をしてきました」と共同創設者のPaul氏は述べ、「プログラムを実施するにあたり、人、地球、利益の3つの重要な柱を組織に均等に組み込みました。興味深いことに環境保全を目的とした取り組みでは、利益の側面が軽視されがちです。しかし、持続可能な成果を達成するには利益が地球環境と同じくらい重要であると私たちは強く信じています」とEwilina氏は利益の追求についても語った。

Sustainable Salonsの公式サイトではパートナーサロンをディレクトリ化し、検索・予約ができるシステムを構築。サロン同士の垣根を超えたシームレスなカスタマージャーニーを実現した。サロンディレクトリにより顧客にとっての利便性もアップし、同サイトを通じ取得されたサロン予約は2023年までに4万4000件を超える。環境意識が高い顧客とサロンの架け橋の役割も担い、双方に利益をもたらす、まさにwin-winのビジネスと言えるだろう。

Sustainable Salons創設者の2人。「People(人)、Planet(地球)、Profit (利益)の前向きな変化」をビジョンに掲げ、美容サロンにおけるサーキュラーエコノミーの構築に情熱を注ぐ(写真:<a href="//acehub.org.au/knowledge-hub/case-studies/sustainable-salons" target="_blank">Australian Circular Economy Hub-Sustainable salons</a>より)
Sustainable Salons創設者の2人。「People(人)、Planet(地球)、Profit (利益)の前向きな変化」をビジョンに掲げ、美容サロンにおけるサーキュラーエコノミーの構築に情熱を注ぐ(写真:より)