メディアリテラシーと情報活用能力を含む広範なメディア情報リテラシーを育むには、どのような教育が必要だろうか。埼玉県戸田市での実証は、一つのモデルケースになるかもしれない。国語、算数、理科、社会、道徳の授業でメディアリテラシーのエッセンスを学び、さらに2回の特別授業を実施した。2023年度もこの実証を継続しているという。

 戸田市と共同で実証を行ったスマートニュース メディア研究所の山脇岳志氏は、「授業を受けた児童はクリティカルシンキングを問うテストの正答率が上がった。こうしたエビデンスがあれば、メディアリテラシー教育の取り組みが広がりやすくなるだろう」と期待する(図1)。

●出張授業などで教育を実践
●出張授業などで教育を実践
図1 令和メディア研究所を主宰する下村健一氏(左)は、「ソ・ウ・カ・ナ」チェックの実践を提唱する。スマートニュース メディア研究所の山脇岳志氏(右)は、2022年4月から所長を務める。京都大学経営管理大学院 特命教授、帝京大学経済学部 客員教授でもある
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 メディアリテラシー教育をすぐに実践するなら、ボトムアップの活動が考えられる。下村健一氏は、「朝の時間やホームルーム、図書室で子供たちの関心事を取り上げ、受け止めを見る」ことを勧める。「そうかなチェック」を実践し、教員も児童・生徒と一緒になって考える。

実は増えている教材

 メディアリテラシー教育については、指導者や教材の不足が指摘されていたが、教材の方はこのところ増えている(図2)。

●メディア(情報)リテラシー教育で活用できる教材
●メディア(情報)リテラシー教育で活用できる教材
図2 教材の数は十分ではないが増えてきた。「NHK for School」をはじめとして質の高いコンテンツが提供されている
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 代表的な教材が「NHK for School」の「アッ!とメディア~ @media ~」。14回分の放映内容は、フェイクニュース、切り取られた写真、統計・グラフ、情報の発信など幅広い。教員と生徒2人によるドラマ仕立てのエピソードに加え、専門家の解説なども交えた10分間の動画は、さすがに質が高い。動画はWebサイトでいつでも視聴できる。