文部科学省は学習eポータルなどを通じて取得した教育データを分析して、学びを深めていく仕組みの構築を進めている。教育データの利活用を推進する教育DX推進室長の藤原志保氏に進捗を聞いた。

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──学習eポータルの現状について教えてください。

 現在「学習eポータル標準モデルVer.4.0」の検討を進めていて、2023年度末までに公表する予定です。学習eポータルは標準モデルに基づいて、さまざまな事業者が開発を進めています。Ver.4.0では例えば、児童・生徒が転校した場合に蓄積してきたデータが途切れないようにしたり、事業者間で教材を利用しやすくしたりして、子供たちが学びやすい環境を作ることを目指しています。

 技術面では、学習eポータルと組み合わせるシステムが技術標準に適合することを明示することで安心して接続できるように、適合性評価の仕組みを検討しています。

 技術的な規格の更新だけでなく、学校や教育委員会が利用しやすいよう運用の指針や要件なども整理して、ガイドラインとして提示したいと考えています。

──どれくらいの学校が学習eポータルを導入しているのですか。

 2023年4月に実施された全国学力・学習状況調査(全国学調)の中学校「英語・話すこと」において、MEXCBTによるCBT調査が実施されたことをきっかけに普及が進みました。現在の導入率は、小学校(国公私)で76.9%、中学校(同)で94.2%にまで上がっています

*公立に限ると、小学校78.8%、中学校98.9%

活用の効果的な事例を創出

──教育ダッシュボードなどでデータ活用を始めた自治体も出てきました。

 2023年度は茨城県、三重県松阪市、鹿児島市と連携し、教育データの分析に関するニーズや活用法を調査する事業を進めています。自治体が自らデータ分析できる環境を構築できるひな型のような典型例を見つけ、データ活用に関する知見の共有や新たな教育価値の創出を目指します。2024年度予算では、分析の取り組みをもっと増やしていけるよう概算要求を提出しています。

 データ標準化の分野では、xAPI(Experience API)を活用できないか研究しています。日本の教育に合わせてカスタマイズすべき点などを検討し、学習eポータル標準モデルに組み込むことも考えています。

──教育データ利活用に関する留意事項は改訂を予定していますね。

 2023年3月に公表した「教育データの利活用に係る留意事項」の第1版では、「総論編」で教育委員会と学校における個人情報について解説し、「Q&A編」で教育データに関する質問と回答を収録しました。

 2023年度末までに公開予定の第2版では、学校などで直面する具体的な場面や状況に応じて個人情報保護法などに関する解説を加えて、データを安全安心に利活用できるようにしたいと思います。

 今はまさに教育データの利活用が進むかどうかの分水嶺にいます。教員がデータを活用することで「子供たちの学びが良くなった」と感じられる流れを作り、次のより高い山を目指していけるようにしたいと思っています。

初出:2023年10月11日発行「日経パソコン 教育とICT No.26」


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